Glossyー東京大学での軌跡ー

凡人東大生による素朴なブログ

東大世界史・大論述の解き方①

 

 

 

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今回はTwitterのDMへの解答です!

 

質問内容を簡単に言うと、

 

 

「東大世界史の大論述の解き方をパターンごとに教えて」

 

というものです。

 

 

僕が受験期に一番好きだった科目は世界史で、また一番得意な科目も世界史でした。めちゃくちゃ勉強したため秋の駿台東大実戦では全国一位を取るまでに至ったというのは以前書いた通りです。

 

その中でも大論述は1番解いてて楽しい、大好きな問題でした!

 

僕が最初に大論述を書いたのは現役時の6月の東進模試で確かカルロス一世とフェリペ二世辺りのスペインの海外進出の過程とそれが各地に与えた影響と本国の興亡を述べよみたいな問題でしたが、高2の秋からマンガと山川教科書で世界史の知識は詰めてたし、周りの話を聞く限り僕は普通の受験生よりも勉強開始段階での読解力や記述力が割と高い方であったため、最初の模試からある程度ちゃんとした論述をして高い得点を取る事が出来、またそこからずっと世界史大論述の成績は高いまま安定的に推移していっていました。

 

 

そのため、僕は大論述を書けないという受験生の気持ちは残念ながら分かりませんし、どう書けばいいかわからない状態から書けるようになる過程という、勉強する上で最も知っておきたいことを説明できません。ですが、自分が何分かけて大論述を解き、どのような手順で問題を解き、その際にどのような工夫をしていたかというのは言語化して説明できるため、それが参考になったら....って感じです。

 

 

本当は一つの記事にまとめて書こうと思ったのですが、あまりにも長くなってしまうので何回かに分けたいと思います。今回は全般的な話と基本的な形式について書いていこうと思います。

 

 

因みに、僕の地歴の勉強法や本番の時間の使い方は

 

glossyon.hatenadiary.com

 

を、

 

世界史で使った参考書は

 

glossyon.hatenadiary.com

 

を見て下さいね!

 

 

それでは全般的な話です。

 

 

大論述で高得点を取るために一番重要なのは何でしょうか?

 

 

 

僕は「問題を解くこと」だと思います。

 

 

何を当たり前のことを言ってるんだ、と思われるかも知れませんが、大論述において問題を解くというのは難しいです。

 

 

大論述は東大文系入試で600字前後と最も多くの文字を書かなければならない設問ですが、この600字は作文ではなくあくまでも問題への解答で、基本的にはある程度正解が定まる(それが複数だとしても)ものです。その正解の基準が問題文で、もっと正確に言うと問題の要求です。解答が問題の要求を満たしていればその解答は正解であると言えるし、満たしていなければいくら世界史の知見に優れた名文であっても不正解です。実際はこう単純ではなく、問題の要求を満たしている要素の数や、文章の構成の仕方が問題の要求を満たしているのかによって部分点が付けられるわけですね。

 

 

 

要するに、問題の要求に徹底的に答えましょうというのが大論文を書く際に僕が一番気にしていたことです。問題の要求に答えている答案を作成できるように問題を読み、構成メモを作成し、文章を書いていくというのが大論述を解くということ僕は思います。

 

 

そしてこの問題の要求というのが縦の過程、同時代の横の状況、比較、役割、意義などと言ったようにある程度パターン化されており、それぞれに解答方針が一応決められています。

 

 

 

この記事から始まる一連の記事ではそのパターンごとに僕が問題文を見てから解答を作成するまでの流れを書いていくというものです。

 

 

ただし注意事項として、僕は世界史の専門家ではないただの元受験生なため、この記事に書いてあることが正しくはないということは念頭に置いておいてください。東大合格者の一人のサンプルということで。また、受験から半年ほど遠ざかっているため、世界史に関する知識に(かなり)衰えがあります。その点もご容赦ください。

 

 

それでは早速始めていきましょう。

 

 

最初は一番基本的だと思う縦の過程です。例として、2019年の過去問、つまり僕が合格時に実際に解いた問題をやっていこうと思います。

 

 

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(2019年 東京大学前期 地歴 入学試験問題 世界史第1問)

 

この問題ですね。

 

 

試験開始直後に僕は大論文の問題だけは見ていました。そんでこの問題を見た感想は、おー!河合の予想のまんまじゃん!、つーか去年の京大じゃん、それ以前に基本的過ぎないか?山川のあのページとあのページとあのページから拾えば終わりやんけ、という感じでした。そして見てこの内容だけは忘れないようにというメモを軽く書いておきました。この問題ですと、京大の内容がパン=オスマン主義→パン=イスラーム主義→パン=トルコ主義→トルコ共和国(アナトリアトルコ人)というものなので、その流れだけは書いておきました。

 

この時点ではまだ問題を解こうとしていません。問題を軽く確認して、問題をパッと見た時点で忘れちゃいけないと思った知識・方針をメモっただけです。

 

その後、世界史第3問・第2問を解いていきますが、この時第1問に関することで何か思いついたらメモっときます。他の設問に夢中になって忘れちゃうことが有りうるのでちゃんと紙に残します。

 

そして、僕は大論述は試験の最後ではなく途中に書く派だったため、世界史第2問を終えた時点で大論述を解くのに入ります。

 

まずすべきと思っていたことは問題文を読んでその問題の要求を把握することです。

 

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この時点ではこんな感じ。まだ問題文に線を引いて枠で囲っただけです。この問題のメインの要求は「18世紀半ばから1920年代までのオスマン帝国の解体過程」であり、サブの要求は「帝国内の民族運動」と「帝国の維持を目指す動き」、また以上のことを踏まえてという条件が指している以上のことで問題に関わる部分は「かつてのオスマン帝国の支配領域が今日までに経験してきた大きな紛争の歴史的起源」であると読み取りました。

 

そして今後は全てこれらの要求を満たす内容だけを考え、これらの要求を満たす答案をどうやって書いていくのかというのを考えます。

 

この時点での一つの教訓は、今年のように過去に類題経験がある問題が本番で出た場合はその類題と今回解く問題の要求が本当に合致しているか確認しなければならないということです。

 

ありがちなのが、内容や分野が重なってるからこれはあの問題が当たったぞ、もらった!と喜んで、特に分析することもなく盲目的にその類題の解答を書き連ねることです。その類題と問題の要求が同じなら構わないのですが、違った場合は大量失点の原因となりうるので、当たった時こそ冷静に問題の要求を読み取りましょう。例えば、東大世界史の大論述で過去二度モンゴル帝国の時代の問題が出題されましたが、あれは昔の方は拡大過程が主、新しい方(確か2015)は文化と経済が主でしたよね。2015の大論述を解く際に、これはあの問題の類題だ!と思って拡大過程を意気揚々と書いてもその部分に関しては加点されないということです。

 

今回も京大は確か帝国の維持を目指す動きのみでしたが、この問題はその他にも要求があるのでそこを落とさないようにしましょう。

 

 

問題の要求の分析を終えたら、僕は指定語句を取り敢えずどうやって使うかを考えることにしました。指定語句は取り敢えずちゃんと捌けば確実に点が入るだろうし、東大側がこれらの指定語句は確実にこの問題に関わるものとしてわざわざ提示してくれているので、それは問題について考える際の足掛かりになるだろうと考えていたからです。

 

 

ただ、これにはデメリットもあって、指定語句に囚われて問題の要求に対しある部分の記述量が多くなり、バランスを欠いた答案になってしまう恐れがあるということです。本問はそれほど難しくない素直な問題ですし、ロンドン会議からセーヴル条約と最初から論述の終わりまでが指定語句で指示されているため、指定語句を上手く均等に捌けばそれなりにバランスの取れた解答が出来ると思います。しかしながら、難しい過去問だと指定語句を均等に20字に当てはまるように捌くと非常にバランスを欠いた答案(=低得点)になってしまいます。

 

 

このバランス感覚に気をつけて、答案の全体像を常に把握するというのを忘れないようにしてました。

 

 

ただ、さしあたっては指定語句を捌いていきます。

 

 

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この時点ではこんな感じ。字は自分で分かるだけの丁寧さでいいということを強調するために敢えて汚くて小さな字で書いているということにしておいて下さい(苦笑)。

 

指定語句に関して思いつくことを列挙していき、その中から問題の要求に合致することを選ぶというのがいいでしょう。知識量が大切です。

 

この問題の場合はどうでしょうね。僕が書いたメモがきっと見にくいと思うので文字に起こします。

 

例えば、アフガーニーは、まず帝国内でパン=イスラーム主義が高揚し(国内の民族運動)、それをアブデュルハミト2世が統治に利用した(帝国の維持を目指す動き)とか。日露戦争は色々なポイントがありますが、この問題に限って言うと立憲主義国家(日本)が帝政国家(ロシア)を破ったことが、アブデュルハミト2世のミドハト憲法停止・スルタン専制に対し憲法復活を求める青年トルコ革命を導いた(解体過程&国内の民族運動)とか。フセイン=マクマホン協定はバルフォア宣言とセットでユダヤ・アラブ間の対立の原因(紛争の歴史的起源)とも言えるけど、パン=トルコ主義を進める反動化した政府が独の3B政策を支持するなど同盟国側についたのに対して、帝国内のパン=トルコ主義に反発するアラブ人は団結して協商国の英についたとか(解体過程点民族運動)。

 

 

この問題で色々なポイントがあるという点で難しい指定語句はこの位でしょうか。どのポイントで使うのが問題の要求に合致するのか=加点されるのかというのを見抜くのが鍵だと思います。

 

 

指定語句の捌き方を決めたら、答案の全体像を考えていきます。これも問題の要求に合致するかということだけを考えましょう。

 

そして、構想メモを書いていきます。今回は各国史の縦の流れなので、時系列順が望ましいでしょう。横の流れとかではないのでざっくりとした地図も不要だろうし、比較とかじゃないので表とか区切りも不要で、この時はこう、この時はこうというふうに書いていきます。

 

この際に〜世紀とか〜年代とか書けるのもありですが、僕は年代をほとんど覚えていなかった()ため、教科書の章立てとか〜戦争前・後みたいな感じで具体的な内容で分けてました。

 

今回はこんな感じです。

 

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(結構な量の知識を忘れてしまったので2/26に書いたものよりクオリティはかなり落ちています、すみません)

 

僕は前述の通り○○があったのは〜年代とかほとんど覚えていなかったので、取り敢えず当たったと思ってた京大の過去問通り、帝国の維持を目指す動き(つまりは為政者の思想)毎に書いていきました。

 

パン=オスマン主義がアブデュルハミト1世の時、パン=イスラーム主義がアブデュルメジト2性の時、パン=トルコ主義が青年トルコ政府の時、そして一次大戦の敗戦後の帝国という区切りです。

 

 

この区切りに応じて、指定語句をまず書いていきます。本問の場合は時代で当てはめていけばいいので難しくはない筈です。

 

 

そして、指定語句以外の事項でこの問題の要求、「18世紀半ばから1920年代までのオスマン帝国の解体過程」・「帝国内の民族運動」・「帝国の維持を目指す動き」・「かつてのオスマン帝国の支配領域が今日までに経験してきた大きな紛争の歴史的起源」に合致するものを書いていきます。ここが知識量の見せどころで、これをいっぱい思いつくと高得点が取れるはずです。今回はオスマン帝国の解体過程があまり指定語句になっていない?のでここを書いたりとかかな。他にも色々あると思いますが、僕の現時点での知識量がだいぶ衰えてしまったので多くは書けませんでした(当日何を書いたかもあまり覚えてない)。

 

 

この指定語句以外で何を書くかは、2018年の女性史の問題で女性の具体的活動をどれだけ書けるかのように、勝負の肝となる場合があります。僕は2018、つまり現役時は問題文の要求に"具体的"とあったにも関わらず、ゆーて大論述だし知識の羅列とかじゃないだろと勝手な解釈をし、問題文の要求に答えずに具体的な活動を指定語句のキュリーとナイティンゲール以外の事項を書けずに世界史で38点となり落ちました(これが浪人期の45点なら現役で合格していた)。

 

 

話は脱線しましたが、これで構想メモは完成したので、後は論述を書いていくだけです。このメモを作るのは本番なら10〜20分程度でしたね。

 

 

論述は流石に書く気がしないしもうクオリティの高いものは中々書けないので勘弁して下さい。構想メモが出来たら後はそれに従って書くだけだと思うのでいいですよね。

 

 

 

それでは今回はここまで!

 

次は同時代の横と、比較について書いていくつもりです。

 

 

 

 

 

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